父親は病死。 カァチャンはAAのカァチャンにそっくりで本当に優しくて温かい母ちゃん。
たった一人の息子、たった一人の家族としてとても可愛がられて育った。
母子家庭だからって寂しい思いをしたとかはなかった。それは母ちゃんが朝から夕方まで働いて、俺が帰宅するときには家にいてくれたから。家事をしているとき以外はいつも内職していた。内職しながら勉強見てくれたり俺のつまらん話を聞いてくれた。
俺が寝たあとはチラシをポストに投函する仕事にいってた。 それも俺が起きて母ちゃんがいないことで悲しくならないよう、近所の住宅街を一時間配りにいっては戻って俺の様子を見て、また配りに行き一時間したら様子を見に戻り…と配慮してくれていた。
俺の誕生日にはいつも俺の好きなケーキや玩具を買ってくれた。文房具も俺が仲間はずれにならないようにとバトエンとか皆と同じものを持たせてくれた。
大事に大事に育ててもらったのに俺はと言うと全てが平均か平均以下。俺も大きくなるにつれて何となく家庭の事情がわかってきて高価な玩具はねだらなくなったんだが、母ちゃんは「パート先の○○さんの息子くんがはまってるんだって」とか言いながらゲーム買ってくるの。
俺は凄く嬉しかったのに意地はって「うち貧乏なのにそんなの買わなくていいよ」と言ったら「だって母ちゃんもやってみたいんだよ」って笑ってた。
俺は母ちゃんが好きで好きで大好きだったんだが、正直よそのお母さんより老けててみすぼらしいところが恥ずかしかった。平均以下の俺のくせに、本当バカだよね。
こんなに人を愛したことなんてない!彼女と結婚したい!とまで思い詰めていて、俺は友達に頼んで彼女とメール交換をすることになった。
メールは送信したメールのうち半分ぐらいしか返信がなかったけど、それでもいい!むしろそれがいい!とか勝手に刺激受けてドンドン彼女にはまりこんだ。
それでも諦めきれずに再度告白。彼女はすごく悩んでいたがやっぱり返事はNo 。
俺は食い下がった。あんだけ悩むってことは可能性は0じゃないんだろっってヤケになってた。
彼女は「私…私のことが本当に大好きな人と付き合いたいの」って言った。これは押すしかない!と猛烈プッシュした。
そしたら「じゃぁお試しでもいい?」って言われて何とか付き合うことになった。お試しだけどな。
なんて、もちろん言わない。
その頃は母ちゃんと俺の会話なんて激減。母ちゃんが「なに食べたい?」って毎日聞いてくるのが面倒だったし、誕生日に「なにほしい?」なんて聞いてくるのが腹立たしかった。
もう俺は昔の俺じゃねぇ!金だって稼いでいるんだぞ!(バイト代は全て自分のもの)俺は子供じゃない!って思っていた。
彼女とは凄くいい感じだった。彼女は大事に扱われることを望んでいた。なので自転車はいつも俺が前。買い物だろうが登下校だろうが荷物を持つのは俺。お昼休みには彼女がおいしいと言っていた抹茶オーレを毎日持って彼女を迎えに行った。
そのたびに彼女は「俺君やさしー」と喜んでいた。それを見て俺も満足だった。
お試し期間とか言ってたが、いつまでも振られることはなかった。確認するのも怖かったので、これはもう付き合ってるんだな!と勝手に解釈して毎日彼女をエスコートしていた。
だからさっき言われて…と言い訳しても「私の方が先に約束してたよね?」
また別の日に…と提案しても「今日じゃなきゃイヤ!」
これやらないと点数もらえなくて俺単位ヤバイんだよ…と懇願すると彼女は
「じゃぁ、もぅ別れる。結局私のこと大事にするっていいながら自分の単位優先すんでしょ?そんな人とは付き合えない」と言ってきた。
俺は別れると言われて焦った。え?こんな簡単に?あ、まだお試し期間なの??とか考えてた。
俺は課題提出を諦めて彼女との放課後デートを優先した。
ただ優先したのだが彼女は終始ご機嫌ななめな上、途中で帰ってしまったんですけどね…
翌日居残りの課題の先生に謝りにいき、普段真面目な俺だけにどうしてサボったのか聞かれた。
フレンドリーな先生だったんで彼女の名前は伏せて事情を話したら苦笑いしてた。
それ以来、主導権は彼女が握っていた。俺はアッシーでメッシーでポーターで犬だった。
それでも彼女のそばで彼女の笑顔が見れることが幸せだった。
もちろん俺のバイト代は彼女とのデート代、携帯代で全部消えた。その上バイトの時間まで彼女に指定されたりして俺は金欠状態になった。
母ちゃんが「もしかして何かにお金必要なの?」とか余計な気を回すもんだから「違うから。っつーか今時母親の弁当とか持ってきてるの俺だけなんですけど」って言ったら母ちゃん「そっかぁ…ごめんねぇ」言ってた。
平日は700円貰えるようになる。そこからご飯代の230円引いて残りは彼女とのデート代にあてる。
でもそんなのは焼石に水。
付き合いたてのときはマクドナルドやファミレスのドリンクバーでもニコニコしててくれた彼女も五ヶ月したらスターバックスでなきゃ嫌だというようになる。
しかもそのお洒落なスターバックスで話すことは友達や同級生の悪口が六割とか…
それでも彼女のキャラメルフラペチーノを飲む姿を見て俺は満たされていた。
この頃には俺は体重が五キロくらい落ちていて細身からガリガリになりつつあった。
彼女といつものようにスターバックスで放課後を過ごしていた。もうすぐクリスマスだね♪と彼女がきりだして「私クリスマスプレゼントはお揃いのルイヴィトンの財布がいいな」と笑顔で言った。
(ビトン…だと)
「ほら、これこれ」と言いながら雑誌の高校生モデルの鞄の中身~みたいな特集のページを見せてきた。
(ビトン…長いぞ…)
雑誌を手に取り見てみると値段がのっていた。値段は忘れたが60000ちょい。
(バイトの時間増やしたら買えるかな…)
「別にいいけど彼女ちゃんは大丈夫なん?バイトしてないんでしょ?」と俺は彼女に聞いた。
だって俺が当時使っていたのは母ちゃんが入学祝いに買ってくれたポーターの財布だし、俺とお揃いのビトンと言ったからてっきりプレゼントしあうのだと思った。
「えっ」と俺も意味が理解できず黙っていると彼女は
「私クリスマスプレゼントにお揃いのルイヴィトンの財布がほしいって言ったんだよ?」
「俺君、今ポーターの財布じゃん。いつもそれレジで出してるじゃん。でもダサいよ、ポーターって。だから俺君も自分用にお揃いのルイヴィトンにしたらいいんだよ!で、私にはクリスマスプレゼントで買ってくれたらいいよ」
(え…)
彼女は俺にルイヴィトンを二つ買えと言ってきた。
(ポーターダサくないだろ…皆使ってるじゃん…)
俺は正直に話した。「今バイトの時間とか削ってるし二つは無理だよ」
すると彼女は笑顔で「だーかーらクリスマスまでバイト増やしていいよ」と言った。
笑えばいいと思うよ
明らかに無理だった…でも無理だって言えなかった。
翌日から俺は昼飯をぬいてバイトを四時から十時まで入った。帰宅したら彼女と電話やメールをして彼女が寝るまで付き合う。朝は彼女を迎えに行くので絶対遅刻はできない。
母ちゃんより遅い帰宅が一週間ぐらい続いた日の翌朝、700円の隣に俺の弁当がおいていた。母ちゃんは俺に聞かれる前に「母ちゃん最近太ったから弁当にしたんよ~今日は作りすぎたからあんた食べー」って言った。
それから毎日母ちゃんは弁当と700円を用意してくれるようになった。
そしてバイト漬けの生活をはじめて二週間くらいたったとき、バイト中に彼女から鬼の着信がくる。
なんかよくバイブなってんなぁとか思ってトイレでこっそり携帯を見たら全て彼女。20件ぐらいきていた。ただ事ではない!と思い、折り返し掛けると彼女は出なかった。メールをいれて仕事に戻るも気になって仕事に身がはいらない。
仕事後、携帯には「会いたい」とメールがきて急いで彼女の家の近くの公園にいった。
おっしゃる通りです。
「お前にクリスマスプレゼント買うためだって」と言ったら「私のせいなの?」と返されて返答に困った。
「こんなのヤダ…前みたいにいっぱいデートしたいよぉ」とすすり泣く彼女に「じゃぁビトン買うけどお揃いは諦めてよ」と言うと「お揃いじゃなきゃ意味ないっ!」と譲らない。
俺は眠気と空腹で途方に暮れていると彼女は「お年玉の貯金とかないの?」と聞いてきた。あるにはあったが母ちゃんが管理していたので俺は無いと答えた。
「じゃぁお母さんは?」俺はキレた。
「母親はいるけどなんなんだよ」初めて見たであろうキレる俺に驚く彼女。
でも俺はお前の喜ぶ顔が見たくて頑張ってんだよ。じーちゃん、ばーちゃんがいたらなんなんだよ。小遣いねだれってか?母親にビトン買う金もらえってか」
彼女は顔を真っ赤にして走って公園から出ていった。
俺は追いかける気もしなかった。とりあえず帰宅して「明日俺休むから一人で学校いって」とメールだけ送って寝た。
でも俺の弁当箱の横に母ちゃんの弁当箱もあったからまだ仕事はいってないんだなーとか考えてた。
んで、腹も減ったし弁当食おうって思って自分の弁当くってた。食ってるときにふと母ちゃんの弁当箱見たらフタ浮いてたの。冷ますためにフタ浮かせてんだろって思ってもう冷めてるだろうからフタしめといたろ思って何気に母ちゃんの弁当のフタあけたら
母ちゃんの弁当、弁当箱一杯に白米つめて醤油ぬった味のり乗せただけのものだった。
オカズはこれぽっちも入ってなかった。
俺の箸が止まった。
良いから
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/ ─ ─ ヽ
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_/((┃))______i | キュッキュッ
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
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. \_ `ー’´ _,/
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| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | トン
_(,,) 早く続きを (,,)_
/ | お願いします | \
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見落としてた。今優しくされたらスキニナッチャウカモ…
黙って淡々とはってけwwwwww
マジなんだな、これが。
母ちゃんの弁当は昔から品数多かった。
幕の内弁当みたいなの。俺はそんな弁当しかしらないから母ちゃんの弁当を見たとき何も考えれなくなり、気付いたら泣きそうになってた。
弁当のフタ持って母ちゃんののり弁見ててしばらくしたら鍵がガチャガチャってした。急いで母ちゃんの弁当にフタのせて自分の弁当食ってるふりした。
「ありゃ、ご飯食べれるんかい」とか言って笑ってた。母ちゃんは白ネギや三つ葉やウドンを袋から出しながら「じゃーこれ昼に食べ~」とか言ってた。
母ちゃんが自分の弁当箱「もう冷めてるな」とか言いながらフタしてるの見て俺は何か言わなきゃって思ったのに何も言えなかった。
彼女は「なんか言うことないの?」って言ってきた。俺はあんな言い方してごめんって謝った。
「私と別れたい?」って聞かれて、正直なんて言えばいいかわからなくて黙ってたら「私のこと嫌いになった?」って聞かれたから、ううん。って答えた。
そしたら彼女はこう言ったんだよ。
「じゃぁ土下座して謝ってよ」
ほとんどが俺の嫌いな彼女だ。
なのに俺は土下座していた。謝って仲直りしたら、バイトが落ち着けばまた俺の好きな彼女に戻るんじゃないかなって思ったから。
俺の土下座を見て彼女は移動教室から出ていった。
結局俺と彼女は元通り。そしてまた学校、バイト、彼女の相手をする毎日に戻った。
結局俺の財布代まではたまらなかった。母ちゃんから700円を貰うのをやめたから。後、バイト代から母ちゃんにクリスマスプレゼントを買ったから。
だからルイヴィトンは一つしか買えなかった。それを彼女に言えないままクリスマスを迎えた。
「あれだけバイトしたのになんで?11月はいくら給料でたの?12月は!?それで平日毎日700円でしょ!なんで買えなかったの?」
俺はありのまま「700円は元々飯代として貰ってただけだから、今は母親が弁当つくってくれてるし貰ってないよ。後は今日のデート代と母親にもクリスマスプレゼント買ったから」って言ったら彼女が黙った。
またか…と思いながら会計して帰宅した。母ちゃんはまだ帰ってきてなかったから俺は机に綺麗にラッピングされた女ものの弁当箱とマフラーと手袋置いといた。
翌朝母ちゃんニコニコ。めちゃご機嫌でマフラーと手袋つけて俺を起こしにきた。
で、ありがとう、ありがとうって言ってたから俺はあのとき言えなかったことを言った。
って冗談ぽく言ったら母ちゃん涙ぐんで「母ちゃんなんてもうババァだからのり弁当でいんだよ、」って言った。俺は泣くのこらえて「二段とものり弁じゃ弁当箱の方が泣きたいわ」って茶化した。
学校についても顔をあわすことなく、昼休みになり彼女が迎えにきた。こりゃ土下座コースかな…と思ったが彼女は昨日のことはなかったかのようにニコニコしてルイヴィトンを見せながら「これ見て~早速使ってるよ~」って言ってた。
そんで今日からはバイトのシフトも落ち着いてるしまたゆっくり過ごせるね~って笑ってた。
なんだコイツ…とは思ったけどニコニコしてんのをぶち壊すこともせず俺も普通に彼女と談笑した。
金もなかったしそれでもよかったんだけど夜は母ちゃん帰ってくるよって言ったら「じゃ、お母さんと三人で年越ししよー」って笑ってた。
マザコンって罵られたことなんてすっかり忘れて俺はウキウキしていた。母ちゃんに彼女がくるって言ったらスリッパとか新調して近所の寿司屋で人気のお節をあわてて注文しに行っていた。
そして大晦日。6時頃に彼女迎えに行って二人で俺の家へ。
で8時すぎに母ちゃん帰宅。母ちゃんの仕事は年末忙しくてクリスマス明けはほとんど12時間出勤とかだった。母ちゃんは無理いって早く上がらせてもらって電車にのって百貨店まで惣菜や寿司を買いにいっていた。
で、母ちゃんが台所で準備してるときにコタツにいた彼女は台所で惣菜見てた俺を呼び寄せ「お母さんだよね?」と小声で聞いてきた。
頷く俺にイタズラっぽい顔をしながら耳打ちで
「うふふ…おばあちゃんかと思った」って言われた。
母ちゃんに彼女くるって言った日に母ちゃんが美容室に予約いれていたこと。
数年ぶりに美容室で髪を染め、カットしたこと。
母ちゃんが新しく服を買ったこと。
仕事で忙しいのに大掃除をしたこと。
そして今日届いた、うまいと言われるお節。
百貨店で値段も見ずに買い込んだであろう惣菜やお寿司やケーキ。
俺は黙って母ちゃんのほうへ行った。
何も言い返せない。いや、口を開いたら恐らく彼女を怒鳴り付けてしまいそうだから。
母ちゃんが楽しみにしていた今日を潰すわけにはいかない。
彼女も「俺君~」と呼んで座布団のとこポンポンしていた。
俺は母ちゃんにせかされて彼女の横に座る。彼女の顔を見るとニコニコしていて俺の大好きだった彼女の笑顔があった。
うまいな
準備がととのって、母ちゃんも席について乾杯した。
俺は「すげ~うまそー」とはしゃいで見せた。母ちゃんも「ね~彼女ちゃんは何が好き?」と寿司を取り分けようとしている母ちゃんが彼女に聞いた。
「私、ピザがすきー!」
机にところせましと並ぶ料理の中にピザはなかった。
でも部屋の空気は凍りついたりはしない。
「あーーごめんね~母ちゃん本当ボケてるわぁ~ピザとろうと思ってたのに忘れてたわぁー」
母ちゃんが言った。
母ちゃんは、新聞まとめてるビニールからピザのチラシとってきて彼女の横に座って「彼女ちゃんなに食べたい?」と聞いていた。
彼女はピザを三枚選んだ。俺が一枚でいいだろって言うと母ちゃんが「あんた何プリプリしてんの~母ちゃんもピザ食べたいしいいんだよ!」って言ってピザを注文しにいった。
彼女は俺と母ちゃんのやり取りを見てニコニコしていた。
「お前、なんでピザ食いたいなんて言うんだよ。こんなにたくさん料理があんだろ」
「だってピザが食べたいんだもん」といつもの口調の彼女。
母ちゃんが戻ってきて「込み合ってるから時間かかるって、ごめんね」って謝っていた。
メッシーしてるときも理不尽な八つ当たりくらってるときも土下座させられたときも「なんでコイツと付き合っちゃったんだろ」って後悔はしなかったのに、このとき初めて後悔した。
「私もうピザの口になっちゃいました」と返す彼女。
「いいだろ。もう食っとこうぜ」って俺が食いはじめても彼女は食わない。そんな彼女を見て母ちゃんも食わない。
でも二人とも箸を持ちすらしない。
母ちゃんが彼女の顔色見ながら色んな話しをふっていたが彼女はさっきとはうってかわって不機嫌な顔をしていた。
返事も「はい」と「さぁ」しか言わない。
これ本当だったら、この彼女を土下座するまで殴る事になるんだが
母ちゃんが出ていったのを確認して「お前いい加減にしろよ」と彼女を怒鳴り付けた。
彼女は俺をバカにするような口調で「私お腹すくとイライラすんだよね」と言った。
「だったらここにあるもの食えよ」
と俺が言っても
「だーかーらーピザの口なんだってばww」
彼女はいきなりとびきりな笑顔を出して「わーい♪お腹ペコペコ~」とハシャギだした。
俺の頭は混乱したままだった。
ころころと変わる彼女の態度。俺に対してはよくあることだった。
でも俺の母親にまで…
いや、絶対マザコンだわ。
そう自覚してしまうぐらい、俺は彼女を許せないと感じた。
案の定、彼女はピザをフタ切れしか食べずに「お腹いっぱーい」と言いやがった。
母ちゃんの用意した、お節や寿司や惣菜やケーキを一口も食べなかった。
俺も満腹になっても気にせずがっついた。
母ちゃんは彼女に話をふってるのに彼女は母ちゃんを見もしない。
見てるのは携帯ばかりだった。
俺は箸を置いて、そろそろ神社行くか?と平静を装いながら彼女にいった。
退屈そうに母ちゃんに生返事をしていた彼女も「いくいくー」と食いついてきた。
時間は10時すぎでまだ早かったけど、俺はとにかく母ちゃんから彼女を引き離したかった。
「あらそぉ?何のおかまいもしませんで」って言いながら彼女のコートを取り手渡そうとしたら彼女は母ちゃんに背中をむけ腕を通してくれってポーズをとった。
俺はもう、ただただ泣き出しそうになるのを必死で堪えることしかできなかった。
いいって言ったのに母ちゃんは下まで見送ってくれた。
彼女の口からは最後までお礼の言葉はでなかった。
もう俺の耳には彼女の会話なんて入ってこなかった。
少し歩いてから俺は立ち止まり彼女に聞いた。
「なんで俺の母親にあんな態度だったの?」
ニコニコでなく、ニヤニヤとした笑いに見えるのはなんでだろう。
「わかってんだろ?俺の母親がお前になんかした?なんか気に入らないことでもあった?」
そんな俺を見て彼女はすっと冷たい顔をして
「そんなに母親がすきなら私なんかと別れて母親と付き合えば」と言ってきた。
無反応な俺に彼女は
「俺君マザコンだもんね。男は皆マザコンって言うけど俺君は特に酷いと思うよ。ハッキリ言って俺君のお母さん、どこにでもいるおばさんだから。それを自分の母親ってだけで素晴らしーとか思ってんでしょ」
早く家に帰って母ちゃんと年越ししよう。明日は母ちゃんと今日の残り物食べようとか、考えていた。
「なんとか言いなさいよ!」ヒートアップしてる彼女が俺を怒鳴り付ける。
俺、もうお前とは無理だわって笑って言ったら彼女は泣き怒りながら
「あんたが付き合いたいって言ったから付き合ってやったんだろーが!調子のんなよ!マザコン!」って発狂していた。
俺達を無遠慮に眺めながら通りすぎていく通行人。
彼女はそんなのおかまいなしに、俺にビンタして「何とか言えっ」と叫ぶ。
「お前とはもう無理だっていってんだろ。二度と俺に話しかけんなよ」って言った。
その後彼女を置いて来た道を戻っていった。
心配かけないよう、彼女の友達と途中であって一緒にいこうってなったんだけど~…って適当に嘘ついた。
母ちゃんは彼女こんな何もない家で退屈だったんじゃ…とかピザ買ってこなかった自分を責めたりしていたが、「彼女が自分で頼んだに食べきれなくてすいませんって言っててって。
あと、アイツ緊張して携帯ばっか見てたことも謝ってたわ」って言ったらやっとホッとした顔見せてくれた。
そして始業式があり翌日からは通常授業が始まった。
友達には特に何も言わなかった。朝、昼、放課後といつも一緒だったけどこれから一人だし、どうせ彼女のほうから女友達にいって別れた噂とかすぐ広まるだろうなーって思っていた。
それでやっと「あぁ、ほんと終わったわ」って安心した。
三年にあがって俺は女子に喋ったり遊びにいったりできる友達ができた。
今までは彼女の彼氏って感じで話しかけにくかったんよ~とか言われた。
勉強しつつもバイトは続けてたまに母ちゃんに化粧水とか買ったりした。
大学も合格できて後は卒業だけだーってなったとき
スゲー糞女だな死ねばいいのに
しかも夜中の一時に。
「俺君、私なんだけど寝てるかな?起きてからでいいので下まで来てください。それまで待ってます」
玄関をそっとあけて手すりから下を見たら彼女が立っていた。
彼女は付き合いはじめと変わらない様子で「俺くぅん、」って抱きついてた。
歩きながら話しきく」って言って明るい道歩いていった。
「もうスッゴク好きなの…彼以外考えられない」って。
じゃ、その彼氏のとこ行けよって心で呟きながら無言で歩く。
雰囲気はaiko 。俺と付き合ってから俺の貢ぎ物でキレイ系にかわっていったけど男子には人気がちょいあった。
人の好みはそれぞれだからな、なんとも言えないよな
でもaikoは無いわー
一通り話終えた後、俺君は彼女は?って聞いてきて「いない」って答えたらニヤニヤしながら〇〇さん(女子友達)俺君が好きなんだよって言ってきた。
絶対嘘だと思ったから特にリアクションはしなかったけど、彼女は「俺君はどう思ってるの?」「彼女ほしくないの~」とか質問攻め。
じゃ俺帰るからって言ったら彼女はつかんでいた俺の腕を握りしめてきて
「ねーまた付き合ってあげてもいいよ」
って言ってきた。
支援
別れた日からずいぶん時間はたったが俺はあの日の彼女の態度を忘れられなかったから。
「はは、っつーかお前とはもう付き合わんよ。」と何とか冷静に断ったが彼女は食いつく。
「あんなに私のこと好きだったのに?」
「そんな簡単に嫌いになんの?」
「その程度だったの?」
なんで昔に別れた彼女に責められにゃいかんのだ…って思いつつ「とにかく無理だから!」って言って走って帰った。
帰宅した頃には10件ぐらいメールきてて、本当勘弁してくださいって気持ちでアドレス変えた。
学校でももうとっくに終わった二人になってたから話しかけられる事はなかったけど、何となく怖くて女友達にだけ相談した。
で、それを聞いたら「は?教えるわけないじゃん。っつーかアイツ嫌いだから」って言われた。
彼女は俺に対しては傲慢だったがそれは俺だけにだった。
学校では本当に大人しかったし男子にもちょい人気あったし、いつも友達とくっついてたから。だから彼女を嫌っている人がいたことにビックリした。
なんじゃそりゃって思ったが話を詳しく聞いたら
「私が行きたいって言ったら毎日スターバックス連れてってくれるの」
「クリスマスには私とお揃いでヴィトンの財布買ってくれるの」
「似合うからって買ってもらっちやった」
「心配だからって毎日送り迎えしてくれるの」
とか言いまわってたらしい。
んで、その態度が「私はこんなに愛されてるのよ、羨ましいでしょ」ってなふうに感じたって。
「でもうまくいってなくてブッチャケ焦ってるよwwwwあんたと別れた後も必死に紹介頼んでいて何人かと付き合ったけどみーんなにフラれてるしww」
こええーー!女友達の悪口言う顔が怖かった…
。
俺も元サヤは絶対ないし、このまま卒業したら彼女とももう会うことないし…と楽観的だった。
車の免許がほしいからとりあえず金が欲しかったんだ。
で、その日は夜10時に帰宅。
母ちゃんの自転車見て「あ、帰ってきてる」とか考えて階段上がって玄関あけた。
足ダルーとか考えながら靴脱ぎ捨てて家に一歩はいると、なんか匂う。
臭いというより、香り。
石鹸でもない。洗濯物でもない。
いい匂いだけど胸騒ぎがする。
廊下を除きこんだ母ちゃんと目があった。
「やっと、帰ってきたか~おいっ携帯置いていったら携帯の意味ないだろ~」とか話しかけてくるんだけど、俺は脳ミソの引き出し開けるので必死で返事ができない。
「あんたに、お客さんだよ。ず~っと待ってたんだからね。」
俺の記憶の引き出しから出てきたものは
俺が彼女にねだられて買った、サムライウーマン(名前違うかも)だ。
「あんた、ほんと携帯ちゃんと携帯してよ」って言う母ちゃんの言葉が右から左に流れていった。
俺は冷静を装いながら彼女に「とりあえず部屋いこっか」って言った。
部屋にはいったもののなんて言えばいいかわからなかった。
俺が黙っていると彼女は俺の腕にジャレながら「ふふふ、ね~驚いた?」って聞いてきた。
「おま…頼むから…勘弁してくれよ」って言った。
いつ家にきたのか、母ちゃんに何か言ったのか、言ったのなら何を喋ったか
色々聞きたいことはあったけど、もう頭はまわらん声は出ないでその後何も言えなかった。
カーチャンごめん・・・
ずっと沈黙だったから顔を上げて彼女を見たら泣いていた。
「どうしたんだよ」って聞いたら
「俺君かわったね…前は何があってもそんな言い方しなかったのに…」
コイツ本当に何しにきたんだよ…って思いつつも、「俺達去年の大晦日に別れただろ?俺は誰とも付き合ってないけど、お前は今彼氏いんだろ?何があったか知らんけど行くなら彼氏のとこ行けよ」
って優しくも厳しく言った。
聞き取れない。「なに?」
「彼氏もう、いないの!
卒業したら同棲しよって言ってたのに…皆、私には嘘ばっか…」
みたいな事言いながらまた泣き出した。
突き放すように言ったら彼女は目を見開いて驚いていいるかのような顔でこっちを見た。
「あんたと別れてからこんなんになったんじゃない!
あんたに降られさえしなければこんな思いもしなかったんだよ!」
夜遅いとか、ここ俺の家とか全く考えてないんだろうなー…っては勢いで怒鳴りだす。
ではない。ただ母親にめっちゃ可愛がられていた。書いてないけど初めて彼女んち、いったとき目の前で60点って言われたしw
ヒソカかよ
ハンターハンター見てないよ…
「俺もう疲れてるから。話ならまた聞くけどとりあえず今日は一人で帰れよ。」
いつも何となく半端に優しい俺だけど、この日は最後まで冷たい態度を貫いた。
彼女はぶちギレた顔して帰るわよって叫んで部屋から出た。
とりあえず俺もついて行くと居間には気まずい顔した母ちゃん…
さすがの母ちゃんもなんて声かけたらいいかわからなかったみたい。
でも彼女が帰るときに小声で「送っていきなさい」って言ってきて俺が首横にふると母ちゃんが彼女に
「タクシーよぶから待ってなさい」って声かけた。
「結構です。うちは電話したら父が迎えにきてくれますから。俺君にはお父さんいないけど、私にはいるんです。」
って言ってきて唖然としている俺と母ちゃんの顔を何度も交互に見ながら笑って
「たった一人の親がこれだと俺君も苦労するよね」
って言った。
なんだよこの糞女
お前なんでこんな糞と付き合ってたの?
マジ一生の汚点じゃん
いや、俺にやらせてくれ
>>1がダイナマイト逮捕されたら>>1のカーチャンはどうなんだよ
最低以下だな
でも俺は彼女に飛びかかろうとしていた。
彼女の言葉の意味をすぐには理解できなかったけど、母ちゃんバカにされたってのはすぐにわかったから。
ごめん…なぜか、エラー連発で焦って二個目勝手に立ててしまった。
すいません…
あちらは落としてこちらに続きかきます、
本当にgdgd ごめん。
あぶねえ、誘導するとこだったぜ
ドンマイなんだぜ
続きが気になる
早く!
俺は彼女を取っつかまえてぶん殴ってやろうとしたけど母ちゃんが必死で俺の体にしがみつく。
「やめなさーい!俺!だめ!やめてーっっっ」って母ちゃん叫んで、俺と彼女の間に入ってきて俺の髪の毛鷲掴みにしながら「やめなさいっ」って怒鳴ってた。
ぶち○すとか物騒なこと言いながら母ちゃんの後ろにいる女に吠えていた。
彼女も彼女で「ほんとのことだろーが!だからテメーもキレてんだろっっ」て啖呵きってるし。
彼女が鍵あけて出ていこうとしたとき母ちゃんの体ごと俺の後ろに投げてやろうとしたけど、いざ母ちゃんの両肩つかんだら力ぬけた。
母ちゃん、ほっせぇ…
んで、やっと母ちゃんと目があった。
母ちゃん、ふけたなぁ…
昔から老けてたけど本当すげえ老けたわ…
母ちゃん、小さいな…
俺が母ちゃんの背をぬいたのっていつだったかな…
母ちゃん、白髪ふえたな…
肩ほそいな…昔、おんぶされてたときはもっと肩幅ごつかったろーが…
母ちゃんに何て言えばいいかわからずその場でしゃがみこんで泣いた。
母ちゃんは鍵しめて、「なーに泣いてんだよっあかんたれっ」て頭叩いてきた。
「昔っから女の子は絶対叩いちゃ駄目だって言ってるでしょーがっ」
久しぶりに聞いた、俺にたいして強気な母ちゃんの声。
昔はこうだった。優しいけど、悪いことしたら強くて少し強引な口調で俺を注意した。
俺が間違ったことをしようとしたら力づくで止めていた。
「ほんとに、俺君は優しいんだから…」
俺を叱った後は必ず俺を誉めて慰めてくれた。
翌朝、俺はやっと母ちゃんに謝れた。嫌な思いさせてごめんって。
そしたら母ちゃんは「だーれも悪くないんだから謝ることないよ。そのかわり俺君ももう怒っちゃだめだよ」って言っていた。
結局彼女とはそれっきりだった。
廊下でたまに会ったりしたけど、俺は見ないようにしていたし多分向こうもそうしてたと思う。
保守
実話だし、俺と彼女の話しはもっと色々あったけど長すぎるのもなぁ…って思ったから途中省略した。でもこうやって思い出すと何だか不思議というか、ちょっと不憫な子だったかもしれん。
俺が彼女に、我儘を受け入れられるのが愛されてる証拠って勘違いさせたのかもだし…。
今の>>1とカーチャンのスペックkwsk
乙!
ウチのもヒドいがここまでとは…
あと、いい母親やな
若気の至りでは許されないことをやってるんだから。
この後、紆余曲折あって彼女と結婚する話かと思ってたが
カーチャンとの間でタブーな話題が出来たら辛いから封印するのはよくないのかも
やっぱ母ちゃんスレを読んだら「あ~俺も母ちゃん大事にしなきゃ…」とか思うじゃん。
俺も実際そうだったし母ちゃんスレを読んだ日は母ちゃんに手土産もって帰るようにしたりしてたんだよ。
でも、母ちゃんっていっつもそばにいていっつも笑ってくれている。俺が何をしても、何もしなくても。
だから母ちゃん孝行って何か持続しないじゃん。
今度旅行連れていってやろう、今度料理つくってやろう、今度今度で後回しにしてたら母ちゃん倒れやがった。
こういう人は実際にいるのは仕方ないとして、その人を選んでしかも言うこと全部聞くってちょっと考えられない。
いつも笑ってくれている母ちゃんは病室でも笑ってくれている。
でも、俺が母ちゃんのそばにいようとしたら嫌がるんだよね。
仕事は?仕事の付き合いは?母ちゃんはいいからって。
皆知ってるだろうけどさ。
とりあえず深呼吸からの
よっしゃ!
俺もっと頑張るわ。みんなクソスレに付き合ってくれてありがとー
でも俺カーチャン大切にしてない
親孝行してくるかな